薬剤在庫管理システムにおける、仕入登録、出庫登録について説明します。また仕入登録の結果として登録される、医薬品情報の確認方法についても説明します。 前提として、医薬品マスタの取込(マスタ更新)、および仕入先マスタの登録が完了しているものとします。
薬剤在庫管理システムでは、仕入登録を行うことで医薬品の在庫登録を行います。まずはじめにメニューより「仕入」をクリックします。
「仕入登録」ボタンをクリックすると、仕入登録画面が表示されます。
以下の表に従い入力を行い「明細入力へ」ボタンをクリックします。クリックすると明細入力欄が表示されます。伝票番号、仕入日は明細入力中に変更することもできます。
項目 | 説明 |
---|---|
仕入先 | 仕入先をリストから選択します |
伝票番号 | 仕入伝票の伝票番号を入力します |
仕入日 | 仕入登録により医薬品を在庫登録する日時を指定します(注1) |
注記)
以下、仕入明細(医薬品〜単価)の入力方法について説明します。
医薬品名、またはバーコードリーダでスキャンした医薬品のバーコード情報を入力し、検索(虫眼鏡)ボタンをクリックします。
医薬品名を入力した場合
医薬品名を指定した場合、該当の医薬品名にマッチする医薬品を選択するための医薬品選択モーダルが表示されます。該当する医薬品の「決定」ボタンをクリックすることで選択完了となります。
なお、入力した医薬品名に該当する医薬品が1件しか存在しない場合は医薬品選択モーダルは表示されずに選択完了となります。医薬品名に該当する医薬品が13件以上ある場合は、医薬品選択モーダルには12件まで表示され、13件目以降は表示されません。該当の医薬品が表示されていない場合はキーワードを追加して検索結果を絞り込んでください。
バーコードを入力した場合
バーコードを入力した場合は、そのバーコードの登録状況によって振る舞いが変わります。バーコードの登録状況には以下の3パターンがあります。
なお、「利用登録済み」とは薬剤在庫管理システムにて以前に該当のバーコードの医薬品の仕入登録を行っている状態を指します。「バーコードマスタ」とは、医薬品のマスタ更新時に取り込まれるマスタで、流通しているバーコードの情報を集めたものです。バーコードの追加は頻繁に行われているため、タイミングによっては流通している医薬品であってもバーコードマスタに登録がない場合があります。
それぞれのバーコードの登録状況に応じて次のように動作します。
1. 該当のバーコードを利用登録済み
医薬品、およびパッケージが特定され、それぞれ選択状態になります。医薬品選択モーダルは表示されません。
2. 該当のバーコードの利用登録は行っていないが、バーコードマスタには登録済み 医薬品選択モーダルが表示されますが、検索結果はなしとなります。医薬品選択モーダル上の「バーコードを登録」ボタンが有効になっているので、これをクリックし医薬品パッケージ登録モーダルを表示します。
「バーコードを登録」ボタンをクリックすると、医薬品パッケージ登録モーダル上にバーコードマスタから取得した情報が表示されます。
「パッケージ登録」ボタンをクリックすると、該当のバーコードの利用登録が完了し、医薬品、およびパッケージが選択状態となります。
3. 該当のバーコードの利用登録は行っておらず、バーコードマスタにも登録がない
医薬品選択モーダルが表示されますが、検索結果はなしとなります。ここまではバーコードマスタに登録がある場合と同じですが、医薬品選択モーダル上の「バーコードを登録」ボタンをクリックして医薬品パッケージ登録モーダルを表示しても、医薬品の情報が表示されません。この場合は、医薬品マスタ管理画面から医薬品を特定した上でバーコードの登録を行う必要があります。
在庫を管理する単位として「ロット」を選択している場合、かつ製造番号(=ロットNo)のついた医薬品の場合、ロットNoを入力します。それ以外の場合(在庫を管理する単位として「医薬品」を選択している場合や、製造番号のつかない医薬品の場合)、ロットNoを入力する必要はありません。
なお、バーコードリーダを用いて製造番号(=ロットNo)/有効期限を含むバーコードをスキャンした場合は、自動的にロット入力欄/有効期限入力欄に値が反映されます。
ロットNoを手動で入力する場合
該当の医薬品について、過去にロットを指定して仕入登録を行っている場合、セレクトボックスに過去に入力したロットNoが表示されます。該当の医薬品を初めて仕入登録する場合や、セレクトボックス内に該当するロットNoが含まれない場合は「新規ロットNo入力」を選択し、ロットNo入力エリアに入力します。あわせて有効期限も入力します。
ロットNoを入力しない場合
「ロットなし」を選択した状態にしておきます。
薬剤在庫管理システムでは、流通のために医薬品が一定数量で梱包されたものを「パッケージ」と呼びます。仕入登録時には、パッケージ単位で仕入数、単価を入力します。なお、バーコードリーダを用いて仕入登録を行う場合は、バーコードスキャンによりパッケージを一意に特定できますので、パッケージを個別に入力する必要はありません。
バーコードリーダを用いない場合は、以下の手順でパッケージの入力を行います。
該当の医薬品パッケージが未登録の場合
パッケージ選択用のセレクトボックスから「新規登録...」を選択します。医薬品パッケージ登録モーダルが表示され、選択済みの医薬品の情報が表示されます。
以下の表に従い入力し「パッケージ登録」ボタンをクリックします。登録完了すると登録したパッケージが選択状態になります。バーコードリーダを用いない場合は、総量数のみの入力でも問題ありません。
項目 | 説明 |
---|---|
バーコード | パッケージのバーコードを入力します |
総量数 | パッケージに含まれる医薬品の数量を指定します |
パッケージ名 | パッケージ識別用の情報です |
梱包/包装情報 | パッケージに含まれる医薬品の数量/包装形態を入力します |
該当の医薬品パッケージが登録済みの場合
パッケージ選択用のセレクトボックスから該当のパッケージを選択します。パッケージを選択すると、前回仕入時の仕入単価が「単価」入力欄にセットされます。
仕入登録する医薬品を格納する倉庫をセレクトボックより指定します。医院設定の「入庫倉庫選択」の設定によりデフォルトで倉庫が選択されます。
仕入登録する医薬品パッケージの数量を入力します。仕入数を入力すると、自動的に総数が計算されます(医薬品パッケージの総量数×仕入数が総数になります)。
医薬品パッケージの単価を入力します。単価を入力すると、自動的に合計金額(仕入数×単価)が表示されます。税抜き/税込みの区分は、仕入先ごとの設定にしたがってデフォルトで選択されます。以前に仕入登録を行った医薬品パッケージの場合、自動的に前回の単価がセットされます。
医薬品〜単価を入力し、「明細追加」ボタンをクリックすると、仕入明細として1行追加されます。
他に仕入登録すべき医薬品がある場合は、同じ要領で医薬品〜単価を入力し「明細追加」ボタンをクリックします。なお、仕入明細の追加を行った段階では、入力したデータは保存されていませんのでご注意ください。
追加済みの仕入明細の内容の修正を行う場合は「訂正」リンクをクリックします。仕入明細の内容が入力フォームに反映されますので、適宜変更を行った上で「訂正する」ボタンをクリックします。追加済みの仕入明細を削除する場合は「削除」リンクをクリックします。
仕入明細の入力完了後、「登録する」ボタンをクリックすることで入力内容が保存され、仕入一覧に仕入データが追加されます。入力内容を変更する場合は「編集」リンクより、仕入登録画面に遷移することができます。
仕入登録により医薬品の在庫が追加されたことを確認するには、メニューより「在庫」をクリックします。
現在、登録されている在庫の一覧が表示されます。必要に応じて、倉庫、医薬品で絞り込んで表示することもできます。また、現在の在庫数だけでなく仕入による在庫変動を確認するには「入出庫履歴」タブをクリックします。
在庫数の変動(仕入、出庫、在庫調整、等)を履歴として確認することができます。
仕入登録により医薬品、および医薬品パッケージの登録が自動的に行われます。登録状況を確認するにはメニューより「医薬品マスタ」をクリックします。
仕入登録を行った医薬品が登録済み一覧に表示されます。内容を確認するには「変更する」リンクをクリックします。
医薬品の情報が表示されます。「基本情報」として医薬品マスタの情報が表示されます。「登録情報」には以下の内容が入力可能です。必要に応じて登録してください。
項目 | 説明 |
---|---|
短縮名 | 医薬品の検索や表示などに使う別名です(注1) |
発注点 | 医院内に保持しておきたい在庫数を入力します(注2) |
コメント | 任意のテキスト情報を格納するコメント欄です |
自動出庫 | 処方一括出庫により該当の医薬品の出庫を許可するかどうかを指定します(注3) |
注記)
医薬品パッケージの登録情報を確認するには「医薬品パッケージ登録」タブをクリックします。
仕入登録時に登録した医薬品パッケージが表示されます。自分で登録したパッケージ以外に総量数に「バラ」と表示されたパッケージが表示されます。これは総量数が1のパッケージになります。
バーコードリーダを用いて仕入登録を行っている場合はバーコードの情報も合わせて表示されます。通常、バーコードスキャンするコードは「GS1コード」と呼ばれるコードですが、この画面では「JANコード」として表示されます(GS1コードとJANコードには互換性があるためJANコードに変換した値が表示されます)。
なお、登録済みの医薬品パッケージの内容を訂正するには「訂正」リンクをクリックします。医薬品パッケージの入力欄に値が反映されますので、適宜修正して「登録する」ボタンをクリックします。
仕入登録を行わずに医薬品パッケージの情報のみを登録したい場合は、この画面から医薬品パッケージの登録を行うことができます。また、医薬品パッケージを削除したい場合は「削除」リンクをクリックすることで削除することができます。
医薬品パッケージの一覧に「主利用」というラジオボタンがあります。主利用とは、医薬品の仕入や発注時にある医薬品を指定した場合に、デフォルトで選択される医薬品パッケージを表します。バーコードリーダを用いる場合は、医薬品パッケージが特定されるため「主利用」の設定は必要ありません。
医薬品パッケージの仕入単価の登録状況を確認するには、該当の医薬品パッケージの「仕入先設定」リンクをクリックします。
パッケージ仕入先一覧に仕入登録時に入力した単価の情報が表示されます。単価は仕入先別に登録することができます。
「主仕入先」のラジオボタンは、該当の医薬品パッケージの仕入先として、どの仕入先をデフォルトとするかを設定します。具体的には発注画面において医薬品パッケージを指定した際に、主仕入先に指定されている仕入先がデフォルトで選択状態となります。「主仕入先」は最後に仕入・発注した仕入先が自動的に設定されますので、この画面で変更する必要はありません。
医薬品の登録状況の確認は以上となります。
薬剤在庫管理システムでは、日レセから処方情報(=診療行為情報)を取り込み処方された数量だけ出庫する「処方出庫」と、任意の数量を画面から入力して出庫する「手動出庫」の2通りの出庫方法があります。
処方出庫を行うには、日レセとの接続設定が完了していることが前提となります。
日レセから取り込んだ処方情報を確認するにはメニューより「出庫」をクリックします。
日レセより取り込んだ処方の一覧が表示されます。使用区分、医薬品で絞り込むことができます。処方された医薬品の出庫を行うには、出庫対象の処方に選択チェックをつけて「一括自動出庫」ボタンをクリックします。
出庫処理が完了すると、処方された数量だけ在庫数が減算され、未出庫処方一覧から該当の処方が削除されます。なお、出庫処理を行った処方に対して日レセで処方数の変更を行った場合、薬剤在庫管理システム上の出庫数には反映されません。その場合は手動出庫や在庫調整により在庫数の調整を行ってください。
「一括自動出庫」により出庫処理する場合は、出庫するロット、倉庫、数量は自動的に決まります。個別に指定したい場合は「個別出庫登録」リンクをクリックします。
自動出庫の場合の挙動は以下になります。必要であれば値を変更して「登録する」ボタンをクリックしてください。
項目名 | 自動出庫の場合の挙動 |
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ロット | もっとも使用期限が近いロットから優先して出庫されます(注1) |
倉庫 | 該当の医薬品の在庫がある倉庫から出庫されます(注2) |
出庫数 | 処方された数量が出庫されます |
注記)
処方一覧に「出庫処理する必要のない処方(例えば、すでに出庫処理済みの処方であったり、在庫管理していない医薬品の処方など)」が表示される場合があります。こういった処方が表示されている場合、該当の処方の選択チェックをつけて「非表示設定」ボタンをクリックすることで、未出庫処方一覧に表示しないように設定できます。
非表示設定にした処方を確認するには、表示対象として「非表示設定された処方のみ」を選択して「検索する」ボタンをクリックすると、現在、非表示設定になっている処方が一覧表示されます。
日レセからの処方の取込は2分毎に自動で行われます。2分毎の定期実行を待たずに取込処理を開始したい場合は「処方取込」ボタンをクリックします。
処方取込(確認)画面が表示されます。いつ以降の処方を取り込むかを日付で指定することができます。1ヶ月以内の処方を取り込みを行う場合はデフォルトで表示される日付のままで問題ありません。1ヶ月以上前の処方の取り込みを行う場合は適宜日付を変更します。なお、2分毎に自動で行われる処方取込は、直近31日分の処方を取り込むようになっています。
「取り込む」ボタンをクリックすると取込処理が開始され、「処方取込を予約しました。しばらく経ってから画面を再読み込みしてください。」というメッセージが表示されます。
処方取込処理には1〜5分程度かかります(所要時間は処方の件数により前後します)ので、適当なタイミングで画面を再読み込みしてください。取込処理が完了すると未出庫処方一覧に取り込んだ処方が反映されます。
処理が完了しているにもかかわらず日レセで入力した処方(=診療行為)が反映されない場合、何らかの理由で取込エラーとなっている可能性があります。取込状況を確認するには「処方取込」ボタンをクリックし、処方取込(確認)画面にて「取込履歴」ボタンをクリックします。
処方取込の実行履歴が表示されます。日レセで登録した処方が薬剤在庫管理システムに反映されていない場合、「接続エラー等により処理自体が異常終了している場合」と「処理自体は正常終了しているが、該当の処方について取込エラーとなっている場合」が考えられます。
前者の場合は、実行履歴の処理結果が「成功」以外の表示になっています。後者の場合は、取込失敗データとして表示されます。取込失敗データを確認するには、実行履歴の「取込データ確認」リンクをクリックします。
取込失敗となった処方データの一覧が表示されます。エラー内容欄にそれぞれ取込失敗となった原因が表示されます。
処方とは関係なく出庫処理を行うにはメニューより「出庫」をクリックし、処方画面の「出庫一覧」タブをクリックします。
処方出庫・手動出庫の療法を含めた出庫の履歴が表示されます。出庫処理を行うには「新規出庫登録」ボタンをクリックします。
出庫登録画面が表示されます。以下の表に従って情報を入力し「登録する」ボタンをクリックします。
項目名 | 説明 |
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医薬品 | 出庫処理する医薬品を指定します(注1) |
ロット | 該当する医薬品のロットを選択します(注2) |
倉庫 | 医薬品を出庫する倉庫を指定します |
出庫数 | 出庫する数量を指定します |
注記)
出庫処理が完了すると、出庫一覧に登録した内容が追加されます。登録した内容を変更したい場合は「訂正」リンクをクリックします。
出庫登録した内容が表示され、倉庫・出庫数を修正することができます。医薬品・ロットについては変更できませんので、訂正する必要がある場合は出庫数をゼロにすることで出庫を取り消し、別途、出庫登録を行ってください。
同様に、出庫処理の削除はできませんので、間違って出庫登録してしまった場合は出庫数をゼロに訂正してください。
医薬品マスタに含まれない薬剤(=独自薬剤)の処方出庫を行うための手順を説明します。
薬剤在庫管理システムでは、独自薬剤についても通常の薬剤と同様に日レセから処方情報の取り込みを行いますが、デフォルトでは処方一覧に処方を表示しません。これは、日レセで登録された診療行為が独自薬剤の処方なのか、その他機材・行為なのか(=薬剤ではない)の区別がつかないためです。連携された診療行為を、剤在庫管理システムで独自薬剤として扱うためには、連携された診療行為(=処方)の独自薬剤を医薬品登録する必要があります。
独自薬剤の診療行為が連携されると、まず「未登録薬剤処方」タブに表示されます。
「未登録薬剤」欄に連携された独自薬剤が表示され、「未登録薬剤の処方」欄にそれら独自薬剤の処方が表示されます。処方を取り込みたい独自薬剤を選択し「医薬品登録」ボタンをクリックします。
確認ダイアログで「登録する」をクリックすると、選択した独自薬剤が医薬品登録され、処方一覧に独自薬剤の処方が表示されます。一度、医薬品登録した独自薬剤については、今後は自動的に処方一覧に取り込まれます。
「未登録薬剤処方」タブに表示された未登録薬剤を、薬剤在庫管理システムで取り扱わない場合は、除外リストに登録します。除外リストに登録するには、未登録薬剤を選択し「除外リストに登録」ボタンをクリックします。
確認ダイアログで「除外リストに登録」をクリックすると、選択した未登録薬剤が除外リストに登録され、未登録薬剤処方タブから消えます。除外リストに登録された薬剤は、今後、「未登録薬剤処方」タブにも表示されなくなります。除外リストの登録内容は「除外リスト参照」ボタンより確認することができます。
未登録薬剤処方タブに表示される未登録薬剤が存在する場合、タブの右隅に赤い数字でその件数を表示します。この数字が表示されているときには、該当の未登録薬剤の医薬品登録、または除外リストへの登録を行ってください。